天秤

過払い金請求の手続きは複雑ではありませんので、借金地獄になっている債務者自身ですることもできます。

実際に自ら消費者金融へかけあってお金を取り戻してもらった人もいます。 自分で過払い金請求をするメリットやデメリットについて見てみましょう。

費用を安く抑えられる

過払い金請求の手続きを代行してくれる業者は、弁護士や司法書士がいます。

専門家に頼むと報酬も発生しますし、過払いが戻ってきたときの過払い金報酬、元金を減らした減額報酬金も取られます。

それが自分で手続きを行う場合には、一切費用が発生しないのです。 裁判所を通す訳ではないので、申立手数料もありません。 発生するとしたら、文書を送るときの封筒や切手代、連絡するときの電話代ぐらいでしょう。

業者によってもかかる費用の額は異なりますが、場合によっては過払い金額の3割以上が取り返すための費用で飛んでしまいます。 自分でうまく過払い金請求ができれば費用を抑えられる分、手元に残るお金も多くなります。

取り立てが止まらない

過払い金請求を自分でするなら、消費者金融への交渉もすべて自分で行わなくてはいけません。

弁護士に頼めば受任通知を貸金業者に送るので、その通知を業者が受け取った時点で取り立てはストップします。 しかし、自分で過払い金請求をする場合には取り立てが止まりません。 書類の用意もすべて自分でしなくてはいけないので、それだけ労力を要します。

交渉がとても難しい

素人が過払い金請求をしようとすると、貸金業者との交渉がなかなかうまくいかないことが多いです。

一番多いのが、取引履歴をなかなか開示してくれないことです。 過払い金請求をするときには取引履歴が必要なのに、なかなか出してくれないのです。 開示を渋ることで過払い金の支払いを避けようという魂胆なのです。

また、取引履歴を開示しない代わりに借金はチャラにすると和解を持ちかけてくることもありますが、多額な過払い金が発生しているケースでは非常にもったいないことです。 どうしても素人相手だとなめられてしまい、過払いを認めてもらえないケースも多いのです。

交渉が決裂してしまえば訴訟にまで発展してしまいますが、そうなるとさらに手続きがややこしくなります。 そのようなこともあるので、不利な条件でも泣き寝入りして和解案を受ける人も少なくありません。

弁護士や司法書士へ手続き代行を依頼するには費用が掛かりますが、その分素人よりもずっと交渉に長けているので、より確実に過払い金を取り戻してくれます。 交渉事が苦手な人は、依頼金を支払ってでも専門家に頼む方が無難といえます。

債務整理はネガティブなイメージがあるものの、借金地獄から抜け出すには効果的な方法のひとつです。

債務整理は種類があり、状況によって最適な方法は異なります。

任意整理

任意整理とは、債権者(消費者金融など)と話し合いをすることで返済方法や減額について決めていく方法です。 裁判所の介入がないので、債務整理の中で最も簡単な方法といえます。

具体的には将来の金利分をカットし、元金のみを分割返済していくという方法になります。 金利分が浮くので返済はかなり楽にはなりそうですが、3年から5年以内で全額返済しなくてはいけないという決まりがあり、あまりにも多額な借金の場合はもっと違う債務整理方法を選ばなくてはいけません。

また、裁判所への手続きがない分、債務者本人で交渉をすることも可能ですが、交渉事に長けている弁護士などの専門家に依頼する方が無難です。

個人再生

任意整理をしても3年から5年で返済する目途を立てられなければ、破産を視野に入れなくてはいけません。 しかしそれだと住宅などの財産を処分しなくてはいけなくなります。

個人再生は2001年から始まった制度で、住宅を処分せずに大幅借金減額したいという人のために作られています。 メリットはなんといっても住宅を残しておける点です。

ただし、利用するには債務の総額が5000万円未満でなくてはいけません。 残しておきたい住宅のローンが支払い中であれば、その分は減額ができません。 減額できるのは住宅ローンを除く借金の総額の5分の1、もしくは100万円のどちらか多い額までで、減額した債務を3年から5年で完済できる目途が立てられなくてはいけません。

自己破産

借り換えもおまとめも無理、任意整理や個人再生をしても絶対に返しきれない状態・・ まさしく借金地獄です。 このような状況になってしまったら精神的にもかなり追いつめられてしまいそうですが、ひとつだけ解決する方法があります。 それは自己破産です。

自己破産は払えなくなった借金を全て帳消しにできる債務整理方法です。 他の債務整理方法は減額した後の債務を返済し続ける必要があるため、定期的な収入が必要になります。 自己破産の場合は無職でも手続きすることができます。

デメリットは官報に破産者として名前が載ること、しばらくブラックリストとして一切の借入ができないこと。 そして高額な財産を処分しなくてはいけないことです。

しかし、精神的にも追い詰められてしまうぐらい借金地獄で苦しんでいた人にとって、借金が帳消しになることはとても大きなメリットです。 借金地獄を抜け出して新たな生活をスタートしたいと本気で思っているなら、自己破産を真剣に考えるべきです。